Interdisciplinary Symposium on Paideia

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毎年イタリアのシチリア、オルティージャで開催される学会”Interdisciplinary Symposium on the Hellenic Heritage of Italy and Sicily”にて、研究発表を行いました。学会のテーマはパイデイア(教育・教養)で、私は”Paideia and Paignion: Revisiting the Puppet Analogy in Plato’s Laws“という題目で発表しました。

『法律』篇の一巻では、人間が神の操り人形であり、人間の行為は、快楽と苦痛と理知の弦の引っ張り合いの中で生じるとされています。伝統的に、この操り人形の比喩は、人間に対するプラトンのペシミスティックな思考の現れとして理解されてきました。他方で、Bobonich(2002)以降は、『国家』篇の魂の三区分との対比で、アクラシア的な状況におけるプラトンの行為論として注目されています。私の主張は、この比喩をプラトンの行為論一般としては理解することは困難であり、むしろ内乱と平和という戦争論(?)と神的秩序に基づくコスモロジーの中で理解する必要がある、というものでした。

この学会は比較的新しいものですが、若手・中堅・大御所の研究者がバランスよく参加しており、フレンドリーな雰囲気で沢山のコメントをもらえます。オーガナイザーが非常に精力的で、ワークショップを毎年多数開催している上に、オープンアクセスジャーナルを毎年発行しています(JSTORで公開されています)。頑張って私も投稿します。

ちなみに来年のテーマはσῶμα καὶ ψυχήだそうです。

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